Vol.143 統計データの読み方

2021年05月17日

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◇◇ ASTATE Monthly Letter ◇◇
(アステートメールルマガジン Vol.143)
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今月のひと言
「統計データの読み方」代表取締役 福山研一

5月7日に、厚生労働省から毎月勤労統計の3月速報値が発表されましたが、労働者1人あたり現金給与総額は282,164円で、12ヶ月ぶりのプラスとなっていました。
一見すると、ポジティブなニュースのように思えますが、実際には、内訳として、正社員等の一般労働者も、パートタイム労働者も、どちらも賃金は減少していました。ところが、平均値を押し下げる賃金水準の低いパートタイム労働者の人数が大きく減ったことで、全体の平均額ではプラスとなっていたわけです。

これはテレビの経済番組でもカラクリが指摘されていましたが、統計データのどの側面をみるかや、その報道の仕方によって、印象が大きく変わるものが多々あります。

例えば、4月末に公表された2020年度の労働力調査によると、就業者数は、前年度と比べて69万人の減少で、「女性や非正規雇用者に大きく影響が…」といった報道も多く見られましたが、それは事実ではありますが、その一方で、正規雇用者は前年度比で33万人の増加という実態もあります。
また、新卒採用の2022年度入社に関する企業アンケートで、「新卒採用「減らす」22%」といった悲観的なニュースもありましたが、内訳をみると、減らす:22%、前年度並み:34%、増やす:17%という結果で、半数以上は前年度並み以上の意向となっていて、識者がコメント欄でも指摘していましたが、楽観はできないものの、そこまで学生の不安を煽らなくてもいいのでは、というものもあります。

それから、公的な統計データを見るときに気をつけたいのは、前月比と前年同月比が混在しているところです。空前の売手市場・人手不足だった2019年頃と比較すると、前年同月比では基本的に悪い結果になるものですが、さらに悪化しているのか、回復に向かっているのかは、前月比で見る必要があります。
ちょうど、コロナの影響が出始めたころから1年が経過して、比較対象の前年同月はコロナ下での数値になってきますので、注意して見なければなりません。

ニュースの見出しやデータの一部だけに惑わされることなく、正確な情報把握をして、適切な採用・雇用戦略を考えたいものです。

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