Vol.137 不合理な格差かどうか

2020年10月30日

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◇◇ ASTATE Monthly Letter ◇◇
(アステートメールルマガジン Vol.137)
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今月のひと言
「不合理な格差かどうか」代表取締役 福山研一

ここ数日は、11/3の米大統領選、11/1の大阪都構想の住民投票と、政治関連のニュースが注目されていますが、今月中旬に、雇用に携わるものとして注目すべき最高裁判決のニュースが相次いでありました。

①東京メトロ子会社の駅売店で働く契約社員よる退職金の支給を求める訴え、②大阪医科歯科薬科大の元アルバイトによるボーナスの支給を求める訴え、それから、③日本郵便の契約社員らによる扶養手当や年末年始勤務手当の支給、夏季・冬季休暇の付与などを求めるもので、正規雇用者との「不合理な格差」かどうかが問われたものでした。

働き方改革による「同一労働同一賃金」が叫ばれるなか、それぞれの最高裁判決が注目されていたわけですが、①②に関しては、正社員との業務内容に違いがあるとして、支給を認めず、③に関しては、「正社員と職務内容が違うことを考慮しても不合理」として、手当支給や休暇付与が認められる結果となりました。

①②の訴訟に関しては、高裁では「不合理な格差」として支給すべきとの判断で、昨今の風潮からもそれを追認する判決が想定されていたため意外な結果ではありましたが、冷静に個々の事例の状況で判断されたものと思います。最高裁判例として今後の裁判にも影響を及ぼすもので、企業経営者としては一定の安堵もあったかもしれませんが、決して一般論としての判決ではなく、個別の事例ごとに判断されるということは注意が必要です。また、全く問題ないと判断されたわけではなく、「不合理であるとまで評価することができるものとはいえない」と判示した点にも留意すべきかと思います。

今後はこうしたトラブルが増えてくることも想定されます。採用時の条件明示はもちろん、合法的な内容か、また、正社員との相違について問われた際に納得いく説明ができるか、トラブル防止のためだけでなく、気持ちよく仕事を頑張ってもらえる環境づくりのためにも、十分な対応を心掛けたいものです。

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